葉の分量は概ね、紙巻きタバコ3?4本程度である。ただし紙巻きタバコと違って、吸った煙は飲み込まず、口腔内でふかすようにして喫煙する。
パイプは紙巻タバコのように唇に軽く咥えるのではなく、「リップ」と呼ばれる部分を上下の歯で噛んで喫煙する。パイプ喫煙をすると、葉が盛り上がったり、灰が燃焼を妨げたりするので「タンバー」という専用の道具で、軽く押し付けてやらなければならない。途中で吸うのを止めるとパイプの中の火は酸欠で勝手に消えてしまうため、時間を空けて後で再点火して吸うことも可能である。ただし、中で汁が出るほど葉が極端に湿っている時は、パイプが傷む原因になるのでパイプレスト(パイプ用のスタンド)に立てかけて、余熱で程好く乾燥させた方が良いとされる。
更に、煙道にヤニが溜まるので「モール」という専用の道具で定期的に清掃する必要がある。また、吸い続けていると「カーボン」と呼ばれる炭素の塊が「チャンバー」(パイプの丸い煙草を入れる部分・火皿)内部にこびり付くので、「リーマ」という専用の道具で適度に削ると長持ちする。
なお点火であるが、紙巻き煙草に比べると火が付き難く、臭気の強いオイルライターは向かない傾向がある。マッチでの点火は比較的用具が安価で入手しやすい。ガスライターは火皿に向けて火を噴出す専用のものが見られるが、一般的なガスライターよりやや高めである。なおターボガスライターは火皿が傷むので避けた方が無難である。
このほか、パイプとタバコの葉・その他用具を携帯するための専用のポーチがある一方で、葉が過度に乾燥しないよう「ジャー」と呼ばれる密閉容器も見られる。特にジャーはブレンドして香料を馴染ませる際の必需品であるが、密閉できるなら食品向けの広口瓶やタッパーでも代用できないものではない。
ブレイクイン [編集]
初めてパイプを使用する場合は、「ブレイクイン」と呼ばれる、自動車のエンジンで言うところの慣らし運転のような期間を必要とする。このブレイクインでは、風味を楽しむことは重視されず、火皿内部に「カーボン」(「カーボンケーキ」とも)と呼ばれる炭化した層を形成することに主眼が置かれる。
ブレイクインでは、良好な炭化した層を形成させるために、最初は数回程度は控えめ(一般には1/2から1/3程度)に葉を詰めて吸う。これを吸い切るまで吸ったら、灰を取り除いて、パイプが自然に乾くまで置いて再び同様に吸うことを繰り返す。そこから徐々に葉を増やして吸うことを更に行っていく過程で、内部に炭化しさらにヤニや灰が固まった層が出来上がり、これがパイプ本体に過剰な熱が伝わらないようにする断熱材として機能し、パイプを保護すると共に内部の燃焼を助ける。この間は過剰にパイプを熱しないためにも、息を吹き込むなど吹かしたりはしない。
ただし、製品によっては予め擬似的にこのカーボン層を火皿内部に作ってある製品も見られ、またこのカーボン層形成を行うためのブレイクイン作業の内容も、諸説見られる。
なおこのカーボン層だが、過剰に付着すると火皿の内径を狭めるだけではなく、タバコの風味も損なう。このため前述したリーマーで過剰なカーボンを削り落とす。しかしリーマーで過剰に削ればやはり不都合もあるため、この扱いは熟練を要する部分でもある。
パイプ煙草の場合、幾つもの葉をブレンドすることで銘柄毎の特徴があり、また加えられる香料によっても特徴が生まれ、愛好家に至っては自らブレンドを楽しんだり、ダビドフのような専門煙草メーカーにブレンドを依頼する場合がある。JTをはじめ世界各地の煙草メーカーはブレンド原料用のパッケージも販売している。
パイプ用の葉のブレンドには、呼び方にやや揺らぎがあるものの、概ね英国風(イギリスタイプ)・欧州風(ヨーロピアンタイプ)・米国風(アメリカンタイプ)の3種類があるが、その各々にはそれぞれ特徴がある。
英国風
水分が多くて香料は使わないか極めて少なく、ただし葉の方は銘柄によって癖の強いラタキア葉やペリック葉を使うなど、タバコ本来の香りを重視している。
欧州風
やや乾燥しており、癖の強い葉は余り使われないが、香料に工夫が見られ香りが特徴的な銘柄が多い。
米国風
乾燥しており香料も様々で、軽めの風味のものから強い風味のものまでバリエーションが広い。欧州風に比べると香料はそれほど強くない。
また使われている葉のブレンドも様々であるため、これらは様々な銘柄を試すしかない。なお原産国が英国ないし米国だからといって、必ずしもブレンドがその通りとは限らず、例えば比較的何処でも販売されている「キャプテンブラック」は米国原産だが、英国風のブレンドである。
このパイプタバコの葉は種類によって異なるが、やや「しっとりと湿っている」ものが主である。このためパイプ喫煙をしていると、「ジュース」と言われるタバコの中の水分や唾液が「チャンバー」下部に溜まることがあり、喫煙を非常に不愉快にさせる。
銘柄によってタバコ本来の葉の味から、お菓子のような甘い風味まで味わえる物まであり、その喫煙スタイルは他の喫煙方法にはない非常に幅広い選択肢を持つ。初めは道具を揃えるのに投資が必要となる(パイプ自体は千円程度から数十万円まである)が、良質なパイプ数本を揃えてローテーションさせることで、一本のパイプは数年から数十年は使える。また紙巻煙草のように吸殻が出ないことから、ゴミの少量化にも繋がる。
よく知られたパイプ喫煙愛好者 [編集]
日本ではダグラス・マッカーサーがコーンパイプを愛用していたことがよく知られており、日本のGHQ統治下における彼の写真には特徴的な丈の高いコーンパイプを咥えた姿が数多く残されている。アルベルト・アインシュタイン、ヨシフ・スターリンもパイプの愛好家として知られている。 日本人では作家の開高健、政治評論家の竹村健一等が著名なパイプスモーカーとして知られている。
架空の人物としてはシャーロック・ホームズがキャラバッシュのベント型パイプを咥えている図が有名だが、これは元々舞台俳優のウィリアム・ジレットや英国放送協会(BBC)制作のテレビドラマシリーズの影響によるもので、原作にはキャラバッシュ・パイプは登場しない。原作でのホームズは、「陶製のパイプ」(クレイ・パイプ)、「ブライヤー・パイプ」を愛用しつつ、紙巻き煙草も賞賛しながら「お替り」するなど、別にパイプに拘っている訳ではない描写も登場する。なおジレットは、長丁場の台詞回しの間、ベント型で軽いキャラバッシュが咥え続け易いとして選んだという。
『ホビットの冒険』や『指輪物語』ではホビットやガンダルフなど主要登場人物にパイプ煙草を吹かす描写がしばしば登場しており、この中では陶器製パイプと思われる「割れていなければ」などとする表現も見られる。ちなみに物語では度々このパイプ喫煙が登場、ストーリーの伏線に用いられたりもしている。なお映画『ロード・オブ・ザ・リング』では、作中のパイプとして陶器製パイプが描かれた(ちなみに煙草はパイプ草と呼ばれている)。
健康問題に関しては、吸い方が直接肺に入れない「ふかし」であるため、紙巻よりも癌になりにくいという風説もあるが、一概にそうとはいえず「副流煙を吸い込む、受動喫煙などによる肺癌・慢性閉塞性肺疾患等の肺病のリスク」や、口腔内には煙が接触することから喉頭癌・咽頭癌・舌癌のリスクは存在する。特に慢性閉塞性肺疾患は喫煙者がよく罹患する疾病である。紙巻き煙草の場合と同様、パイプの喫煙も、自身のリスク、および、周囲への影響を考える必要がある。
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